Anki 高度なオプション徹底解説:スケジュール最適化設定(V2)
Ankiを使い続けていると、試験1週間前なので短期的にカードを学習したい要件や、簡単なカードはより間隔を伸ばすような「スケジュールの調整」をしたいケースが出てきます。
Ankiで学習の間隔を調整するには「デッキオプション」の中で「高度なオプション」から行います。

なんか数字の設定が必要でよく分からない…
この記事では、そんなあなたに「スケジュール調整」を思いのままできるよう、画像を用いて設定値の調整方法について解説をします。
この記事の対象読者
- Ankiの学習スケジュールをカスタマイズしたい方
- オプション画面を見たことがあるけど文字ばかりで訳が分からない方
この記事の解説は、Ankiの従来のスケジュラー(V2)に基づいています。
もしあなたが最新のFSRS (V3) スケジュラーを有効にしている場合、ここに記載されている「復習開始時の『易しさ』」や「簡単なボーナス」などの設定は無視されるか、非表示になります。FSRSはこれらの値をAnkiが自動で最適化するため、手動での調整は不要です。

台湾で「面倒解決エンジニア」として活動している森田ユウゴです!
私は台湾在住のソフトウェアエンジニアです。「面倒くさい!」を原動力に、kintoneカスタマイズやChrome拡張機能開発などを通して、日常や業務の課題をテクノロジーで解決することに注力しています。
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知っておきたいキーワード:Ankiの操作とカードの「3つの状態」
Ankiの高度な設定を理解するには、まずカードの状態があなたの操作によってどう変わるかを知る必要があります。Ankiには3つの学習状態があります。

- 新規 (New) カード:
- 状態: デッキに追加してから、まだ一度も学習していないカード。
- あなたの操作: デッキを学習し始め、このカードが初めて表示されます。ここで「もう一度」「難しい」「正解」「簡単」のいずれかを押します。
- 学習中 (Learning) カード:
- 状態: 「新規カード」で何かしらの回答をしたばかりの状態。または、「復習」したカードで「もう一度」を押して再学習中になった状態。
- ルール: このカードは、「新規カード」または「忘却」の「学習ステップ」に従って、間隔が設定されます。
- あなたの操作:
- 「もう一度」を押す → 最初のステップ(例.1m)に戻ります。
- 「正解」を押す → 次のステップ(例. 10m)に進みます。
- 「簡単」を押す → このカードは「卒業」して「簡単な間隔」(デフォルト4日など)で表示されます。
- 復習 (Review) カード:
- 状態: 長期的な記憶の軌道に乗ったカード。
- ルール: このカードは、「高度なオプション」の設定に基づき、数日、数週間、数ヶ月といった長い間隔で表示されます。
「学習を卒業する」とは?
「学習を卒業する (Graduation)」とは、カードが「学習中」の状態を終えて、「復習」の状態に移行する瞬間を指します。
これは、以下の2つの具体的な操作のいずれかによって発生します。
- 「正解」で卒業: 「学習ステップ」の最後のステップ(例:
1m 10mの10mのステップ)で、「正解 (Good)」ボタンを押す。 - 「簡単」で卒業: 「学習ステップ」で「簡単 (Easy)」ボタンを押す。
この記事で解説する「高度なオプション」の多くは、この「卒業」を終えた「復習カード」の動作を調整するためのものです。
高度なオプション設定項目 概要表
まずは高度のオプションの一覧と、その概要について説明します。

| オプション名 (English Name) | デフォルト値 | 概要 |
|---|---|---|
| 復習間隔の上限 (Maximum interval) | 36500 | 「復習カード」の間隔が、この日数(36500日≒100年)を超えないようにする上限値。 |
| 復習開始時の「易しさ」 (Starting ease) | 2.50 | カードが「卒業」した瞬間に設定される、最初の「間隔乗率」(2.5倍)。 |
| 「簡単」回答のボーナス (Easy bonus) | 1.30 | 「復習カード」のレビュー時に「簡単」を押した際、「正解」の間隔に追加で上乗せされる倍率(1.3倍)。 |
| 復習間隔の一括調整 (Interval modifier) | 1.00 | 全ての「復習カード」の間隔に最終的に適用されるグローバルな乗数。 |
| 「難しい」回答の間隔 (Hard interval) | 1.20 | 「復習カード」のレビュー時に「難しい」を押した際、前回の間隔に乗算される倍率(1.2倍)。 |
| 復習再開後の復習間隔 (New interval) | 0.00 | 「復習カード」を忘れた(「もう一度」を押した)際、元の間隔の何%(0%)から再スタートするか。 |
| カスタムスケジューリング (Custom scheduling) | – | Ankiのスケジュール動作自体を、JavaScriptコードで上書きするための超上級者・開発者向け機能です。 |
以降ではそれぞれの項目について1つずつ解説していきます。
1. 復習間隔の上限…Maximum interval
- デフォルト: 36500日(100年)
- 定義: 復習カードが次に表示されるまでの最大日数。
この設定は、Ankiが計算した「復習カード」の間隔の「上限キャップ」です。デフォルトの100年は、事実上「上限なし」を意味し、語学や専門知識など、生涯にわたって知識を保持したい場合の理想的な設定です。
変更する場合のユースケース
- ユースケース1:試験日が決まっている
- 状況: 1か月後(30日後)に重要な試験がある。「復習カード」の間隔が60日後などに設定されると、試験日までにそのカードをもう一度復習できないので不安がある。
- 設定: 「復習間隔の上限」を試験日までの日数(例:
30日)に設定します。 - 結果: どんなに簡単な「復習カード」でも、スケジュールが30日を超えることはありません。これにより、「試験日までに、すべてのカードを最低でももう一度復習できる」ことが保証されます。
- ユースケース2:生活習慣に加えたい
- 状況: 毎日、決まった名言集や習慣をAnkiで見ることで長期記憶以上に脊髄反射で思い出せるようにしたい
- 設定: 「復習間隔の上限」を
1日に設定します。 - 結果: 「難しい」「正解」「簡単」のいずれかを押した場合、必ず次の日に復習カードとして表示されます。(「もう一度」を押した場合は再学習ステップに入ります)
私の設定
Ankiのアルゴリズムによって長期記憶に保持されているので「100年後」に復習すればいい。と言っても現実的に寿命と考えるとあり得ません。
個人的には「365≒1年」くらいが良いのではないかと思っています。
2. 復習開始時の「易しさ」〔復習間隔の前回比〕(倍) …Starting ease
カードが「卒業」するタイミングで設定される、間隔計算の「乗率」の初期値です。個人的にはこの値を調整するユースケースが思いつきません。
- デフォルト: 2.50(250%)
- マニュアル定義: カードが「学習」ステップを卒業したときに設定される、最初の「易しさ(Ease)」の値。
「易しさ(ease)」とは、「復習カード」の間隔を計算する際の「乗率」です。この「復習開始時の易しさ」は、「学習ステップ」の最後に「正解」を押すなどして、カードを「卒業」させた瞬間に一度だけ設定される初期値です。
デフォルトの250%は、卒業後の最初のレビューで「正解(Good)」を押すと、間隔が約2.5倍になることを意味します(例:卒業間隔3日 → 3日 * 2.5 = 7.5日)。
変更する場合のユースケース
特になし
私の設定
私はどのような学習でもデフォルトの値を使用しています。
3. 復習で「簡単」回答のボーナス〔「正解」比〕…Easy bonus
- デフォルト: 1.30(130%)
- マニュアル定義: 復習カードで「簡単」と回答した際、「正解(Good)」の間隔に追加で掛け合わされる乗数。
これは、「復習カード」(=卒業後のカード)のレビュー時に、「簡単」ボタンを押したときの「ご褒美」です。
変更する場合のユースケース
- ユースケース1:易しいカードは極端に間隔を伸ばしたい
- 状況: 「簡単」なカードは十分に理解しているので学習初期でも1か月後とかでいい。
- 設定: 例:
3.0 - 結果: 例えば、前回「14日」の間隔があった復習カード(易しさ2.5倍と仮定)の場合、「正解」なら $14 * 2.5 = 35日 ですが、「簡単」を押しこの設定が3.0の場合、(14 * 2.5) * 3.0 = 105日となります。
私の設定
私は基本的にデフォルトの値を使用しています。
4. 復習間隔の一括調整(倍)…Interval modifier
- デフォルト: 1.00(100%)
- マニュアル定義: Ankiが計算したすべての復習間隔に対して、最終的に掛け合わされるグローバルな乗数。
この設定は、少しの変更で分かりやすく学習間隔に影響します。
変更する場合のユースケース
- ユースケース1:復習するカードが毎日簡単すぎる
- 状況: 学習初期段階において十分理解しているカードが短い間隔で登場する。
- 設定: 「復習間隔の一括調整」を
1.10(110%)などに引き上げます - 結果: すべての復習間隔が10%延長され、学習の総時間を短縮できます。
- ユースケース2:学習難易度が高く忘却しているカードが多い
- 状況: ユースケース1とは逆で全体的に「もう一度」を押す機会が多い
- 設定: 「復習間隔の一括調整」を
0.9(90%)などに引き下げます - 結果: すべての復習間隔が10%短縮され、カードに触れる頻度が上がり、記憶の保持率が向上します。
私の設定
基本的には1.0(デフォルト)のままです。
5. 復習で「難しい」回答した場合の間隔〔前回比〕…Hard interval
- デフォルト: 1.20(120%)
- マニュアル定義: 復習カードで「難しい」と回答した際、前回の間隔に掛け合わされる乗数。
この設定は、「復習カード」のレビュー時に「難しい (Hard)」を押したときの動作を決めます。「難しい」を押した場合、そのカードが現在持っている「易しさ」(デフォルト2.50から変動している場合があります)の数値の調整が行われます。
例えばカードの「易しさ (Ease)」が250% → 235%となります。
つまり、次回以降に「正解 (Good)」を押したときの間隔の伸びが従来250%ではなく235%という長期的に影響する設定です。
変更する場合のユースケース
- ユースケース1:「難しい」を押した場合、学習間隔を伸ばしたくない
- 状況 「難しい」と感じた「復習カード」は、間隔を伸ばさず、前回と同じ間隔で復習したい。
- 設定: 例:
1.00 - 結果: 「難しい」を押した場合、今回の間隔は前回と同じ(1.0倍)になります。(ただし「易しさ」は低下するため、次回以降の間隔の伸びは悪化します)
私の設定
基本的には1.2(デフォルト)のままです。
6. 復習再開後の復習間隔 (New interval)
- デフォルト: 0.00(0%)
- マニュアル定義: 復習カードを忘れた(「もう一度」を押した)際に、前回の間隔に乗算される値。
長期間隔が空いたカードに対して大きく影響してくる設定項目です。
例えば10分→1日→4日→1週間→2週間→1か月…の間隔があるとして、1か月ぶりに学習となったカードがあったとします。そのカードを思い出せず「もう一度」を押した場合、また最初のステップ「10分」からやり直します。「長期で間隔が空いたカードはある程度覚えている」という前提がある場合を考慮したい場合などに使います。
変更する場合のユースケース
- ユースケース1:長期間隔のカードは甘めの間隔に設定したい
- 状況: 学習間隔が広いカードに対してある程度の学習猶予を持ちたい
- 設定: 例:
0.3 - 結果: 1か月ぶりのカードを「もう一度」とした場合、30日 * 0.3 = 9日後の復習カードとなります。
私の設定
通常は0.00のままですが、長期的に取り組むかつ数が多いデッキに対しては「0.3」としています。
例えば単語のデッキは合計数百、数千となっています。厳格に長期記憶に残すよりは単語に出会う機会を多くしたいので、注力すべきは学習初期のカードだと考えています。そこで「復習再開後の復習間隔 (New interval)」を活用することで戦略的に間隔を調整することができます。
7. カスタムスケジューリング (Custom scheduling)
Ankiのスケジューリング動作を、上級者がJavaScriptコードを使って上書きするための欄です。
結論として私を含めて99.9%の学習者には不要な項目だと考えています。
結論:私が調整する2つのレバー
Ankiの「高度なオプション」は複雑に見えますが、V2スケジューラで本当に調整を検討すべきなのは、以下の2つと私は考えています。
- 復習間隔の上限…Maximum interval
- 目的: 学習における「最大間隔」で学習スケジュールを調整する。
- アクション: 学習の目的が「短期」か「長期」かで、30(日)や365(日)などを設定する。
- 復習再開後の復習間隔 (New interval):
- 目的: 忘却の「ペナルティ」を調整する。
- アクション: デフォルトの0%から、
0.30(30%)などの「寛容なペナルティ」に変更し、学習効率とモチベーションを維持する。
さいごに
Ankiをどのような学習で利用するかによって、検討すべき項目は変わってくると思います。
しかしAnkiを始めたての方は、そもそもAnkiがどのような仕様で動いているのか、検索で何が出来るのか俯瞰するのが難しいと思います。

私は一般的な語学学習では無く特別な用途に使っているので、そもそも学習間隔を調整するべきなのか分からない…。
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